仮縫い後する仕事といえば…修正データを紙にまとめ、頭を一度リセットしながら再度組み立てていきます。
理論と感覚。
技術と自己の美意識。
これら本来一緒であると同時に磁石のように離れやすいものをどこでくっつくのかを捕まえていきます。
想像力を豊富にし、目をつむり立体を思い浮かべるようにして。
私自身は仮縫い中色々な箇所をチェックしていきます。
前の丈が短くなかったか、前後のバランス、袖の振り位置、各部分のあまり、ゆとり量…その他多くのことを瞬時に判断し決断していかなくてはいけません。
お客様からしたら、すでに8割方完成しているこのスーツがここから大きく変化するとは思わないかもしれません。
ただ実際はここからが勝負なのです。
フィッティングでうまくいかないものは仮にそれが8割完成していてもお納めできない場合だってあるのです。
真剣に勝負していきます。
あくまで自分自身と。
プレッシャーもあります。冷たい汗が出ることもありますがここが踏ん張りどころと思い気を引き締めます。
写真はお店から徒歩数分のサントギュスタン教会。裏地を買いに出た後ここに寄ってしばしボーッとするのがここ最近のお気に入りです。
私はクリスチャンではありませんが、ただただ過去の職人たちが魂を削るようにして作り上げた作品を見るのが好きです。
真剣に作った美しいものは必ず人に伝わるはず。私もそう思い仕事をしています。頭を空っぽにしてただ感じるのは心地いいもの。