独り言は続きます..。
貴方が美しいと思うものをどこまでも追求する。
私が大切だと思うものを、だれよりも深く探し続ける。
自分は一体何者なのか。
それがわからなければもの作りなんて出来ない。
何を良しと思い、何を表現したいか。
自分の美意識がどこにあり、どんなものを表現したいのか。
ただ もの を作るのは簡単。
専門学校を卒業した人ならおそらく大体のものを作れる。
でもそこに貴方しかない美意識がないのであれば、そんなもの作る必要があるのか?と私は自問したい。
スーツをお納めして、お客様の心が動くような..肌が粟立つような..大好きな音楽と初めてであった時のような….何かしらの感動があってほしい。その服を着てどこかに出かけてほしい。世界中を旅行してほしい。そしてヨーロッパの名店で『ムッシュウ、とてもエレガントですね』と言われてほしい。そこには私のブランドネームなどなくていい。『KENJIRO SUZUKI』の服ですね。なんて思われなくていい。それよりも,その人自身と一体化してその人がエレガントに見えてほしい。そう願います。
お客様の記憶に残る服でありたい。
20年も着ているけどこの服と一緒にこんなことがあった。あの国にも行った..と誰かに話してくれるような。そんな服を作りたい。
お客様の人生の横に居続けるような服。その人が自慢したくなる服。破れてもつぎはぎをしても着続けたいと思う服。
それがカシミアでもウールでも、コットンであってもそうしたことはあまり関係がなく、着続けたらこんなによくなったよ!と目を輝かせて言ってほしい。
服作りに関わり20年目。
ようやく自分の求める美しいものを形に出来るようになりました。そこには手抜きも、効率もなくただひたすら丁寧に作ることで出てくる美しさがあります。
昔、一緒に働いていたデザイナーの方が言いました。
『健次郎、あなたはブランドネームの着いたものを買う側に行きたいの?それともそれを作る側?』
良い出会いがあり今の自分があります。
感謝。自分はどこまでも表現者でいたい。