2012.11.08 若者へ


日本から来ていた『やる気のある若者』T君ですが、結果的に4日間の研修を終え明日帰国します。T君は日本で服飾関係の仕事についていますが、『絶対にぶれない自身の基礎』を求めていたとのこと。4日間の短い研修期間でしたが、私達も包み隠さず仕事を見せ、彼も手を動かし続けました。結果としてとても有意義なものになったようでしたので、嬉しいです。
仕立ての世界では『Comme il faut;(必ず)こうあるべき』ということが多々あります。それらは通常ベテラン職人から叱咤激励されながら身につけて行くもの。そして多くの場合そうしたことは文章化し難いことで、カッティング技術などは海外から日本に随分浸透しているにも関わらず、そうしたことは実はあまり入って来ていません。

私のところで学びたいと言ってくる若者には、『外国に留学し、修行することは精神的にも簡単ではない。どうしてもここに来なくちゃ行けない という想いが無いのなら日本に居た方がずっと良い』と私は言います。断られてもそれを跳ね除けてくるような人間でなければ、異国で学ぶことなど無理だとも思います。

次回彼と会えるのがいつになるかは分かりませんが、再会できることを妻と二人願っております。
いい職人になるには不可欠なものがいくつかあり、その第一は トップメゾンで学ぶこと でしょう。パリに今も残るいつくかのテーラーは皆世界的に見てもトップクラスの技術をもっていますし、同様に私達も同じように自負しています。

人と人との出会いを大切にしたいと思います。


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