2012.04.04


2012年3月の受注会も無事終了し、今成田空港第一ターミナルにいます。

日本での滞在は毎度バタバタの慌ただしいものになりますが、今回も例外ではありませんでした。
4年6ヶ月お世話になったフランチェスコスマルトを3月14日に退社し、その足でシャルルドゴール空港へ。日本到着後は銀座和光で服飾史家の中野香織さんと『パリのエスプリ、日本の美意識』について対談。そして受注会へ…。
個人受注会も盛況に終わり、新しいお客様と出会うことも出来ました。そしてここ最近は、実際に手を動かし作る時間がどんどん削られて行く中、限られた時間でより集中して物作りをしています。既存のお客様の仮縫い中、自分が求めるカッティングラインがお客様の体の周りに浮かび上がることがあり、そうした時はお客様も私も、なんとも言えない感覚に包まれる気がします。

周りの方からすると、きっといつも通りの仮縫い…に見えるのでしょうが、お客様と作り手の微妙な感覚がピタッとくるのはそう多くはありません。もちろんそうなることを目指して毎回仕立てているのですが、それは常ではありません。
その瞬間の気持ちよさは独特です。言葉で表現するとするば、集中力が意識することなくすうっと集まったもので、私のカッティングラインとお客様の求めるものがかなりな部分で一致した感覚とでもいうのでしょうか。とにかくこの仕事をしていて良かったと感じる瞬間の一つです。

しかし今回の滞在で全てがpositiveであったわけではなく、次に向けての課題も見つかりました。
お会いした方々はご存知でしょうが、やはりこれからは滞在日数をできるだけ減らしていかなければなりません。
今回の滞在は3週間と非常に長いもので、その間当然ですがフランス人のお客様への仕事はストップします。今現在仕事の8割がフランス人のお客様で、また自分自身活動の中心は常にパリであります。ものづくりの人間には時間こそが一番大切で、まず手を動かしてなんぼ。なのです。私がコラム等で自身の世界観をお伝えしているのも、作っていることがあるから感じ、うまれてくるものです。その部分のバランスを保つことは、単に仕事を効率的に回して行くだけでなく、自分たちの精神バランスに大きく影響を与えてきます。
また、今回は自分を応援してくれる方々と話し合いをすることもでき、これからの大きな課題に繋がりました。

今までの一年、がむしゃらに妻と二人突き進んできました。パリでの独立をしたいと目標を持ち、半年毎のスパンで計画を立て、結果がついてこない場合は二人で知恵を絞り進んできました。
周囲の人々は恐らく、随分急いでいるな。と思ったかもしれません。ただ異国で生活していますと、自身でシチュエーションを変えていかない限り、物事の多くはなにも変わらず進んで行きます。チャンスを掴みたいなら自分が行動しない限りなにも起きません。そうしてようやく実現したパリでの独立。ここからの一年は今までの一年とは異なり、真剣勝負の年になることでしょう。

目標は叶えるもの。次のステップが楽しみです。


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